動画や写真に、手書き文字や手描きのイラストを合成することも可能な、ハイビジョン対応のビデオ編集ソフト。「Ulead VideoStudio」は、高い操作性と豊富な機能で定評のある個人ユーザ向け動画編集ソフト。グラフィカルなアイコンが多用されたわかりやすいインタフェースで、初心者にも使いやすい。新バージョン「12」では、ペインティング機能が追加されたほか、複数タイトルトラックの編集や、オーバーレイトラックに対するエフェクト効果の適用なども可能になった。さらにレンダリング速度の向上、中継プロキシファイルの作成時間の短縮、Core 2 Quadへの最適化なども図られ、パフォーマンスが大幅に改善された。
新バージョンでの最大の強化点といえるのが、動画内に手描きアニメーションなどを追加できる「ペインティング・クリエーター」機能の搭載。筆、エアブラシ、クレヨン、油絵、パーティクルブラシをはじめとした10種類以上の画材のほか、テクスチャなどを利用できるフルカラー対応のペイント機能だ。
一般的なペイントソフトと異なるのは、描画の過程を動画として「録画」できること。「レコーディング開始」ボタンをクリックした時点から「停止」ボタンをクリックするまでの動きを動画として記録できる。開始から終了まで何秒かけて描画しても、動画になる時点で自動的に3秒に調整されるが、デュレーションを変更すれば、任意の秒数に短縮・伸張することも可能だ。
描画操作はマウスだけでなく、筆圧感知タブレットにも対応し、文字の描画時などにも自然な味わいを出すことが可能。作成したアニメーションは、他の動画と重ねて使用できる。アニメーション作成の際にガイドとして使えるよう、描画エリアを透明にして、下地に動画クリップを表示させることもできる。
従来から定評のあるアニメーション付きタイトル機能は、タイトルトラックが従来の1本から2本になった。複数タイトルトラックを編集することが可能になり、別々のアニメーションパターンを持つタイトルを同一画面内に表示させたり、表示開始や表示終了タイミングをずらして2種類のタイトルを表示させたりといったこともできる。タイトルアニメーションの数も10種類が追加された。
動画エフェクトでは、オーバーレイトラック上のクリップに対してエフェクトを適用できるようになった。2画面合成で双方の画像にエフェクトを適用することが可能で、動画の表現力が増した。さらに、オーバーレイトラック上でもトランジションエフェクトを適用することが可能だ。
クリップのトリミング機能では、ライブラリ上に配置したクリップに対して、直接「ワンフレーム・マルチトリム」を行うことができる。ソースクリップをタイムラインに配置しなくても、直接ソースクリップの部分抜き出しを行える。
パフォーマンスは、アルゴリズムの改善やCore 2 Quadへの最適化により大幅にアップ。時間のかかるハイビジョン編集では、プロキシファイルの使用で操作性を高めることができるが、プロキシファイルの作成時間は従来の「11」に比べて3.5倍と、高速化が図られている。
動画ファイルの編集は、SD解像度はもちろん、ハイビジョン(HD)解像度にも対応する。HD編集の結果は、HD MPEG-2、WMV HD、AVCHDの各形式でファイル出力できるほか、HDVカメラに直接出力を行うことも可能。またSD解像度では、AVIやMPEG-1/2、WMV、DV出力などのほか、PSPやiPod、Zune、携帯電話などで再生可能なMPEG-4、H.264形式で出力することもできる。作成した動画をYouTubeにアップロードする機能や、iPod/iPhone/PSP/携帯電話、Windows Mobile機などに直接出力する機能もある。
ディスクの作成は、VideoCD、SVCD、DVDの各出力に対応。HD解像度では、従来から対応していたAVCHDに加え、HD Recでの作成も可能になった。作成したディスクは付属の「WinDVD 8 Silver」を使えば、パソコン上でも再生できる。