3D CG作成のための数多くの機能が統合された“オールインワンパッケージ”。「Shade 10」は、使いやすさやレンダリング品質の高さなどで定評のある3D CG作成ソフト「Shade」シリーズの新バージョン。従来バージョンからユーザインタフェースが刷新されたほか、モデリングやトゥーンレンダリングをはじめとした機能の強化が図られ、広範囲にわたる変更が加えられた。フラッグシップモデルでプロフェッショナル・業務用ともいえる「Professional」、クリエイター向けの「Standard」、ホビー用として最適な「Basic」の三つのグレードが用意されている(編集部注:以下の本文は「Professional」を中心にまとめられています)。
インタフェースでは、「3Dマニピュレータ」と呼ばれるオブジェクト操作機能が加えられたことが大きい。移動や回転、拡大・縮小といった、オブジェクトに対する操作をマウスだけで行えるもので、RGB各色に色分けされた3方向の立体カーソルを使って、3D空間上でオブジェクトを自由に移動することが可能。最初にマウスポインタを置く位置によって移動や回転などの操作を選べるほか、操作方向(X/Y/Z軸)も選択できる。
3D CG作成ソフトではおなじみのいわゆる4面図では、平面図や透視図の配置を自由に選択できるようになった。複数の透視図を同時に配置することも可能になり、同じ立体の透視図を複数の方向から同時に参照することができる。
オブジェクト同士の位置をぴったりと合わせられる「オブジェクトガイド」も新たに搭載された。2Dドローソフトに見られる「オブジェクトスナップ」と同等の機能で、オブジェクト同士の接点に見苦しい「すきま」が開くようなことを防げる。また、オブジェクトの形状を設定する際には、マウスドラッグではなく、数値入力で直接、指定できるようになった。同サイズのオブジェクトを複数配置する場合や、精密なモデリングを行う際に便利だ。
新機能「UV編集モード」は、図形ウィンドウの4面図上でUVマップを直接編集できるもの。複数のポリゴンメッシュUVマップを同時に編集できるほか、さまざまな投影法でUV座標系の投影データを作成することが可能。選択した特定のポリゴンを、平行、球、円柱形式で投影したり、複数のポリゴンメッシュで連続したUV投影を作成したりすることもできる。
CGのイメージに大きな影響を与える表面材質の定義では「Shadeファイルの外部参照」機能が追加された。保存された「Shade」の表面材質ファイル(.shdsfc)を直接参照することが可能で、複数のモデルで同じ表面材質を共有できるようになった。3D空間に表示される画像を見ながら、直接マッピング位置を操作できる「投影マッピングマニピュレータ」といった機能なども追加されている。
レンダリングでは、通常の「レイトレーシング」レンダラと同様のエンジンを用いた上で、計算に時間がかかる部分を省略して高速化した「ドラフトレイトレーシング」機能が搭載された。このレンダラをプレビュー時に使用することで、最終イメージに近い画質のプレビュー画像が得られる。
トゥーンレンダリングでは、従来のセルアニメーション風のイメージを作り出すレンダラに加え、輪郭線と白塗りを用いた「テクニカルイラスト」、スクリーントーンによる階調表現を行う「マンガ原稿」、鉛筆ハッチングで階調表現を行う「鉛筆画」などのレンダリングモードが追加され、ワンタッチで画像イメージを切り替えることができる。
髪の毛作成プラグイン「ヘアーサロン」で作成した髪の毛を正確にレンダリングする「ファーレンダリング」機能も新たに搭載された。標準で用意されている「レイレーシング」「ドラフトレイトレーシング」「パストレーシング」の各レンダラと融合し、影、屈折、反射などが考慮された、実感性の高い毛髪イメージを作り出せる。
そのほかにも、インターネット上の仮想空間「Second Life」用の3Dデータを出力する「Second Lifeエクスポータ」や、Adobe Flash(SWF)出力機能、LightWave/3ds maxなどの他の3Dアプリケーションファイルの入出力機能などを搭載する。