「ComicStudioDebut（コミックスタジオ デビュー）」は、パソコンで漫画を描くためのデジタル漫画制作ソフト。ペンやスクリーントーンといった作画のための道具から、ネーム、下描き、公開、印刷にいたるまで、漫画制作のワークフローをトータルにサポートする。スタンダードモデルの「Pro」（タブレット付きモデルもある）、フラッグシップモデルの「EX」もラインアップされた「ComicStudio」シリーズの中で、「Debut」は、基本機能を搭載したエントリーモデルにあたる。

漫画制作には、原稿用紙の準備からストーリーの大まかな構成（ネーム）と下描き、コマ割り、ペン入れ、背景、効果線、トーン貼り、フキダシとセリフ入れまで、さまざまな工程がある。「ComicStudioDebut（コミックスタジオ デビュー）」では、これらすべてのステップにおける作業をパソコンで行えるようになっている。

特に作画機能では、漫画用ペンの代表格ともいえる「Gペン」や、一定の太さが描けるサインペン、鉛筆、エアブラシといった画材のほか、あらかじめ定義された一定のパターンを貼り付ける「パターンブラシ」など、パソコンならではのツールが揃う。さらに、筆圧感知機能付きのタブレットにも対応し、ペンの太さやパターンブラシの大きさなどを、筆圧に応じて変化させることができる。

コマ割りの基本となる「枠線」、背景の「集中線」「流線」などはあらかじめ登録されており、ワンタッチで適用できる。スクリーントーンも、基本パターンに加え、デザイン系のトーンなどがあらかじめ登録済み。「マクソン」などの市販されているトーンと同デザインのものも利用できる。

レイヤ機能は強力。コマ割り、フキダシ、テキスト、下絵、背景、トーンレイヤなど、多数のレイヤを用いて編集することが可能。フキダシ位置の移動や背景の描き直しなども、他の部分に影響を与えずに行える。

ユーザインタフェースは、従来バージョンから継承されたオーソドックスなものに、入門者向けの「ビギナーズアシスタント」が追加された。ビギナーズアシスタントを利用すれば、よく使う機能をワンタッチで呼び出すことができる。

これに対して漫画は、いまでもまだまだ「手描き」の作品がほとんど。もちろん、なかには「フルデジタル」で作画されている漫画もあるようだが、微妙なペンタッチ、手描きならではの「味」をフルデジタルで表現できるようになるまでには、まだまだ時間やコストがかかるのだろう。とりわけ入力デバイスの制約は大きい。

しかし、仮にもしこれらの制約が解消され、コンピュータの画面上でも手描きによる入力が紙とペンによる作画と同等に近い「味」を表現できるようになったらどうだろう。編集のしやすさ、データハンドリングのよさなど、メリットがクローズアップされることになるに違いない。

「ComicStudioDebut（コミックスタジオ デビュー）」には、レイヤを用いた作画が可能な点やデータハンドリングのよさなど、まさにそうした“デジタルならでは”のメリットがふんだんに取り入れられている。さすがにマウスによる作画は、紙とペンによる作画のダイレクト感には及ばないだろうが、ペンタブレットを使用すれば、より使いやすくなるだろう。このソフトは、そうした「近未来」の漫画作成環境を見せてくれる、先進的な作画ソフトだ。