コヒーレンス 2.0の搭載で、Windows/Mac OS Xのアプリケーションがさらにシームレスに統合する仮想マシンソフト。「Parallels Desktop for Mac」は、Intel CPUを搭載したMacintosh上に仮想的なパソコンを作り、WindowsやLinuxなどのOSをウィンドウで動作させられるソフト。新バージョン「3.0」では、コヒーレンスモードが強化されたほか、3Dグラフィック(OpenGLとDirectX 8.1(一部制限付き))への対応やParallelsエクスプローラの搭載など、さまざまな機能強化が図られた。
今回のメジャーバージョンアップで最も目を引くのは、強化されたコヒーレンスモードだ。「Parallels」は、パソコンそのものをエミュレートするソフトなので、実行時の見かけは仮想パソコンのディスプレイとなる。Windowsを動作させた場合はウィンドウに(あるいは全画面に)Windowsのデスクトップが表示され、Windowsアプリケーションはこの画面の中に表示されるのが自然だ。
コヒーレンスモードを指定すると、Windowsのデスクトップは表示されなくなり、Windowsアプリケーションのウィンドウだけが表示されるようになる。パッと見たところでは「MacでWindowsアプリケーションが単独で動いている」ようにしか見えない。もちろん複数のアプリケーションを動かせば、それぞれのアプリケーションが別々のウィンドウで表示される。ただし、実際にはすべてのアプリケーションは「Parallels」上で動いているので、ひとつのWindowsアプリケーションのウィンドウを前面に出すと、すべてのWindowsアプリケーションのウィンドウが一緒に前面に出てきてしまう。MacのアプリケーションとWindowsアプリケーションの間でコピー&ペーストする場合などは、他のウィンドウが邪魔になることがある。
MacのFinderからWindowsアプリケーションをダイレクトに実行する機能も付けられた。.xlsファイルの実行アプリケーションをWindowsのExcelに指定しておくと、Finderで.xlsのファイルをダブルクリックするだけでWindowsのExcelが起動し、.xlsのファイルを開いてくれる。もちろん事前に「Parallels」を動かしておく必要はない。この機能とコヒーレンスモードを同時に使うと。あたかもWindowsのExcelがMacで動くかのように使うことができる。この機能は逆方向に使うことも可能。Windows側でMacのアプリケーションを指定しておくと、Windowsでファイルを開いた場合にMacのアプリケーションが起動するようにできる。
MacとWindowsの連携は細かいところでも改善されている。ファイルのコピーもウィンドウ間のドラッグ&ドロップでできるなど、うっかりすると二つのOSを使っていることを忘れてしまうほどだ。
もちろん仮想マシンとしての機能も向上している。Windows Vistaに対応したほか、読み出しのみだったCD/DVDドライブも書き込み可能になった。また、限定的ではあるがDirectXにも対応した(リリースノートには動作確認のとれたゲームのリストも掲載されている)。
BootCampとの共存も図られ、BootCamp用のWindowsドライブを仮想マシン上で利用できるようになった。これにより「対応できていないハードウェアの使用やゲームなどを遊ぶ際にはBootCampで、それ以外は『Parallels』で」といった使い方がより現実的になった。