絵筆や絵具などのブラシやバリエーション豊富な用紙を備え、現実に存在する画材で作成したような“手描き風”のグラフィックを作成できる高機能ペイントソフト。「Corel Painter」は、実際の画材を模した手描き風の作画が行えるペイントソフト。バージョン番号の「X(10)」からもわかるように歴史が長く、プロフェッショナル用途にも堪えられるほどの機能を備える。新バージョン「X」ではWindows Vistaに対応したほか、描画機能や描画速度の改良が施された。「ファイルを開く/保存する」「フィルタ効果を適用する」といった基本動作のほか、最も重要な「ブラシ描画」のパフォーマンスも向上したという。
機能面での従来バージョンとの大きな違いは「RealBristleペイント」を搭載したこと。現実の絵筆で描いたときの絵具の混ざり具合、1本1本の刷毛の動き、絵の具の違い、キャンバスとの組み合わせなどを考慮して、より現実に近い描画環境を実現する。
同じく新機能の「構図ツール」では、キャンバス内に「ガイドライン」を表示することで、画像全体のバランスを取りやすくしてくれる。画像に安定感を与える「黄金分割」のほか、「三分割法」にもとづいたグリッド表示も可能だ。
「作業領域マネージャ」では、作業パレットの大きさや配置、表示内容などをユーザの好みに応じてカスタマイズ・保存できる。スケッチ用やレタッチ用などのようにパレットをあらかじめ用意しておけば、用途に応じてパレットをワンタッチで切り替えられる。設定内容をエクスポートすることも可能で、他の人との共同作業や、複数のパソコン上で作業環境を統一する際に役立つ。
写真をベースにアーティスティックな絵画を作成できる「フォトペインティングシステム」も機能強化が図られた。「下塗りペインティング」パレットには、印象派、古典派、モダン、水彩、スケッチブックなど、さまざまなスタイルで使われるカラースキームが用意され、細かなコントロールが可能になった。さらに、写真画像に対してブラシストロークを自動で適用できるほか、オプションの「スマートストロークペイント」により、ブラシストロークのサイズや方向を、元となる写真画像の焦点や輪郭に近づけて表現できる。
筆圧検知タブレットは対応製品が拡大され、すべてのWacom製タブレットに対応した。「Intuos 3」の幅広オプションペン「Intuos 3マーカー」にも対応。「RealBristleペイント」との組み合わせにより、まさに現実の絵筆を用いて描画しているかのような環境が得られる。
色選択では、「ユニバーサルミキサー」のカラーパレットを利用できる。実際のパレットを使うようにして複数の色を混合できる。二つの画像間のカラーと明度を簡単に合わせる「調和パレット」機能もある。
ICC 4.0カラープロファイルにも対応。あらかじめプロファイルを設定しておけば、画面上と印刷結果とのマッチングを取った状態で作画や印刷が行える。