レンダリング品質の高さや扱いやすさなど、さまざまな面で定評のある3Dグラフィックソフト「Shade」シリーズの新バージョン。「Shade 9 basic for Windows」は、簡単な操作で高品質の3Dグラフィックが作成できるソフト。新バージョン「9」では、3Dグラフィックソフトの主要な機能である「モデリング、レンダリング能力の強化」や「ユーザインタフェースの改善」など、広範囲にわたって改良された。
CGのイメージに大きな影響を与える表面材質の定義では、「パララックスバンプマッピング」機能が追加された。「パララックスバンプマッピング」は、立体表面に平面図形をマッピングする「バンプマップ」で、立体形状とカメラ位置を考慮してマッピングを行うもの。(単純なバンプマップのように)本来の立体感が損なわれることなく、視点方向を変更しても自然なマッピングが得られる。
表面材質設定のプレビュー表示には、「レイトレーシングレンダラ」が使われるようになり、実際にCGとして生成されるイメージに極めて近い状態でプレビューできるようになった。また、編集画面の3D表示を「シェーディング」にしている場合は、表面光沢や環境マップを表示させることも可能だ。
ベース機能ともいえる「レンダリング処理」も大きく改良された。徹底的なチューニングにより、従来バージョンに比べてレンダリング時間が全体的に短縮されたほか、レンダリング品質も向上した。
360度全方向からのレンダリングイメージを作り出す「パノラマレンダリング」機能も強化された。平面への投影方法として従来の円柱投影法に加え、球投影、ライトプローブ、キューブマップ、バーティカルクロスなどの投影手法が追加されている。
モデリング機能では、「一括選択」機能が新たに加わった。ポリゴンマップ中に含まれる「3頂点(三角形)」「4頂点(四角形)」「それ以外のポリゴン」を各種類ごとにまとめて全選択/全選択解除することができる。
ポリゴンメッシュによる表示画面では、ドラッグによる選択箇所をリアルタイムで表示することができる。ドラッグ中にどの面を選択しているかが、さらにわかりやすくなっている。
そのほか、選択した範囲の任意形状のポリゴンを自動で「3頂点ポリゴン」の組み合わせに変換する「三角分割」機能、「3頂点ポリゴン」を「4頂点ポリゴン」に変換する機能、離れた位置にあるポリゴン同士を連結する機能などが用意されている。
レンダリング結果を表示するイメージウィンドウも改良されている。レンダリングイメージサイズを変更する作業がイメージウィンドウ内だけで行えるようになった。レンダリングサイズを変更するたびに設定ダイアログを表示する必要がなくなり、操作がスピーディに行える。
「Shade」内でWebページを表示する機能が追加された。チュートリアル、ヘルプ、アップデート、コンテンツのオンライン購入など、ソフト上から「Shade」のWebサイトと連動した操作が行える。作業中に閲覧する機会が多いWebページを常時開いておくといった使い方も可能だ。
「Shade 9」には、「Basic」のほかにも上位版として「Standard」「Professional」がある。「Standard」は、一般的に使われる機能のほとんどを利用できるもの。「Professional」には、プロフェッショナル向けに用意された機能が含まれている。「Standard」「Professional」では、「DirectXエクスポータ」などの一部機能が強化されている。また、「噴水・爆発・煙などの無機質な物体の表現」「衝突判定や引力の反映」「風の設定などの物理演算機能を持つ『パーティクルフィジックス』」といった高度な機能が利用できる。