「TVStreaming」は、ビデオキャプチャ機能が搭載されたパソコンをサーバとし、映像データをネットワーク経由で送信することにより、テレビチューナ非搭載のパソコンでもテレビ視聴を可能にしてくれるソフト。インターネットに接続していれば、遠隔地から簡単にテレビ番組を視聴できる。

利用するには、テレビ映像をキャプチャできるパソコンに「TVStreaming」のサーバソフトをインストールする必要がある。キャプチャカードは、Windows Media Encoderが認識できるものであればよい。PCIカードタイプやUSBチューナボックスタイプなど、ハードウェアの接続種類は問わない。

ストリーミング時の動画圧縮は、WMV形式で行われる。画質を保ったまま高い圧縮率を確保でき、帯域幅の狭い回線でも快適にテレビを視聴できる。Windowsマシンであれば、特別なコーデックのインストールは不要。エンコードの設定は、Windows Media Encoder 9で定義されているテンプレートの中から選択できる。ビデオサイズやオーディオ形式などを指定できる。

クライアント側からの接続は簡単。Webブラウザを起動して、サーバ側パソコンのIPアドレスとポートを指定するだけでよい。一般的に遠隔視聴ソフトでは、クライアント側パソコンにも専用ソフトをインストールすることが多いが、「TVStreaming」のサーバソフトはHTTPサーバとして動作するため、Internet ExplorerなどのWebブラウザが動作すれば、手間なくアクセスできる。サーバソフトには、DDNSへのアドレス登録機能もある。DDNSサーバ（http://www.dyndns.org/）側にアカウントを用意しておけば、ホスト名を入力するだけでアクセスすることが可能だ。

視聴だけでなく、（サーバ側での）録画予約も行える。iEPGに対応し、インターネット番組表から予約できる。手動で予約設定を行う場合は、特殊な予約パターンを組むことも可能。毎週/毎日/平日のみなど、さまざまなパターンで予約設定を行える。テレビチューナからの録画だけでなく、外部入力からの録画も予約できるため、BS/CSデジタルチューナなどから録画することも可能だ。携帯電話（iモード/EZweb）から録画予約を行うこともできる。

ストリーミング用のソフトでは、サーバソフト（＋ハード）のほかに、クライアント側にも専用のソフトを必要とするものが多い（視聴に使うためのソフトを、あらかじめクライアント側にインストールしておく必要がある）。「TVStreaming」の特徴は、クライアント側に特殊なソフトをインストールする必要がない点。もちろん、WMV形式の再生環境とWebブラウザは必要だが、これらはWindows標準の機能なので問題はない。「OSがWindowsでインターネットに接続」してさえいれば、いつでもどこでも自宅のテレビ映像を見られ、録画予約を行える。これは、専用ソフトを要する他のシステムに比べて大きなメリットといえる。

こうした汎用性の高さが実現できるのは、ひとえにWindows標準の機能を活用しているからだ。実はWindowsでは、マイクロソフトがフリーで配布しているWindows Media Encoderを使えば、インターネット経由のストリーミング再生を行える（ただしチャンネル切り替えは行えない）。ここに目をつけた点は興味深い。

安価で、かつ十分な使い勝手を実現しているという意味で「TVStreaming」は極めて魅力的なソフトだ。