最大7台のパソコンを一組のキーボード&マウスで操作できるユーティリティ。設定は簡単で、ネットワークに関する深い知識がなくても使える。「Multiplicity Pro」は、ネットワーク接続されたWindowsマシンを、別のパソコンに接続されているキーボード/マウスで操作できるリモートコントロールソフト。モニタ切り替え器などの特別なハードウェアは不要。最大7台までのパソコンを使い分けることができる。
ソフトは、操作する側の「プライマリ」と、ネットワーク経由で操作される側の「セカンダリ」の双方にインストールする必要がある。プライマリかセカンダリかは、セットアップ時に指定する。プライマリ指定でインストールした場合は、あとからセカンダリに変更することも可能だ。1台のプライマリに対して、セカンダリ側は6台まで指定できる。プライマリ側のパソコンを起動した際、ネットワーク内でセカンダリ側を自動的に検索・認識させることも可能だ。
操作対象を切り替える方法は2種類。ひとつは、ホットキーを利用する方法。ホットキーには【F1】〜【F12】と【Alt】/【Ctrl】キーを組み合わせたものを使用できる。割り当てはユーザが好みのものに変更できる。
もうひとつの切り替え方法は、マウスポインタを画面の左右端に移動させるというもの。「Multiplicity Pro」では、セカンダリのモニタを置いている場所がプライマリに対して左右どちらになるかを事前に設定する。その設定に応じて、例えば画面左端にマウスポインタを移動させると、左側のモニタにポインタが移動する。物理的なモニタの並びと切り替え操作を一致させることができるようになっている。
設定によって、「マウスの移動速度が一定以上で左右端に触れたときのみ切り替え許可」や「フルスクリーンで動作するソフトを使用している場合は切り替えない」ようにすることも可能。偶然の操作で不意にパソコンが切り替わってしまう事態を避けられる。
セカンダリ側を操作している間は、プライマリ側のキーボード/マウス入力がすべてセカンダリ側に送られるため、制御を戻さない限りプライマリ側の操作は行えない。プライマリ側を操作しているつもりで、意図しない操作が行われるのを防ぐため、セカンダリ側が選択されている間はプライマリの画面をブラックアウトさせることもできる。セカンダリ側に、外部から操作を受け付ける状態にあることを示すウィンドウを表示させることも可能だ。
「Multiplicity Pro」を起動しているパソコン間では、互いのクリップボードを共有したり、ファイルのコピーを行ったりすることも可能。コピー元のパソコンで該当データをコピーし、コピー先パソコンでペーストすれば、データをシームレスに複製できる。
操作に対するレスポンスは非常に高速。バーチャルデスクトップのようにデスクトップ画面を転送するわけではなく、転送するのがキーボード/マウスの情報だけなので、操作感はローカルのパソコンとほとんど変わらない。