「文机」は、“あえてblogを使わない人のため”のWeb日記サイト作成ソフト。用意された機能は大きく分けて、（1）テキストエディタを起動するためのランチャ、（2）HTML出力の二つ。「書く」ボタンでエディタを起動して日記を書き、「出す」ボタンでHTMLファイルを出力するという手順だ。あとはFTPソフトでサーバにアップロードするだけで、日記を更新できる。

日記を編集する際は、エディタに日付が自動挿入される。ユーザは日記の本文だけを入力するだけでよい。エディタのウィンドウを閉じれば、日記は自動的に保存される。初期状態ではエディタとしてWindowsの「メモ帳」が登録されているが、好みに応じて自由に変更できる。

日記のレイアウトは、テンプレートで変更することが可能。初期状態ではdefaultのほか、計8種類のテンプレートが用意されている。また、テンプレートに応じて、日記のデータファイルや出力されるHTMLファイルの保存先フォルダ、最新ページに出力する日数（何日分の日記を掲載するか）、過去ログファイル用の拡張子などを指定できるようになっている。

日付の書式や他のページ（過去ログ）へ移動するリンク用書式の設定、他の固定ページへのリンクなどを指定することも可能。視覚に障碍を持つユーザや高齢者ユーザのために、文字の大きさやコントラストに配慮したページを出力する「ロービジョンモード」というオプションもある。

簡易ブラウザが内蔵され、ページの出力後、「見る」ボタンをクリックするだけで、すぐにプレビューすることができる。

出力用テンプレートは、ベースとなるHTMLファイルに「文机」独自のタグが埋め込まれたもの。拡張子は独特だが、一般的なテキストエディタやHTMLエディタを使ってカスタマイズすることが可能だ。

日記のタイトルやインデックスページへの出力数などは、設定画面から簡単に変更することができ、設定画面自体もシンプル。日記を書いてから出力するまでの操作も実に簡単なので「blogの管理画面は難しすぎてわからない」という人でも、「文机」なら大丈夫だ。

上級者にとっては、使い慣れたテキストエディタを登録できるところやテンプレートの編集が手軽にできるところも魅力だろう。特に後者は、筆者が触れたことのあるblogツールのテンプレート変数に比べるとかなりわかりやすいように感じた。逆に注意しておきたい点としては、画像の扱いが上げられる。日記の入力にテキストエディタを使用するという点からもわかるように、「文机」は直接画像を扱うようには作られていないので、写真日記などを作りたい場合はやや面倒だ。

なお、筆者が入手したアーカイブでは、テンプレートを変更しても出力レイアウトが変更されなかったので念のため報告しておく。付属のドキュメントによると最初は少なくともdefault.cssとlvision.cssという二つのスタイルシートが出力用フォルダにあるはずなのだが、どうも筆者が入手したアーカイブには各テンプレート用のスタイルシートが含まれていなかったようで、作者のホームページから個別にダウンロードしたテンプレート（標準で同梱されるテンプレートも個別にダウンロードできる）の中からcssファイルだけを出力用フォルダにコピーしたところ、うまく表示されるようになった。もし同じようにレイアウト変更で悩んでいる方がいたら、お試しいただきたい。

ソフトに依存する形式で日記をつけていた場合、もしそのソフトが使えなくなったら、大切な記録を失ってしまうことになります。だから、日記は特殊な形式ではなく、汎用のテキストファイルに残しておくのがベストであると考えました。テキストファイルを編集するなら、わざわざ新しい操作方法を覚え直すより、使い慣れた「メモ帳」やワープロソフト、エディタなどを使う方が簡単です。

そういうわけで、日記を書く部分はごく簡単な補助機能のみに抑え、手作業では大変なHTML化の部分に特化したソフトとして開発しました。

開発のコンセプト
パソコンにあまり慣れていない高齢の方でも戸惑わずに操作でき、マニュアルを読まなくてもそれなりに動かせて、その気になればいくらでもカスタマイズできるソフトというコンセプトで開発しています。