「MatArranger」は、写真を作品として展示する際に欠かせないマッティングの作業をシミュレートできるソフト。簡易フレーミングや複数窓を使う「多コマ抜き」、画像の一部を用いる「トリミング」などの機能も備えている。

マッティングの基本は、裏側に敷く台紙（バックボード）と、窓を開けた台紙（オーバーマット）で挟み込むこと。「MatArranger」では、

• ボードの色を変える
• オーバーボードの厚みを利用して展示に「奥行き」をつける
• ボードとプリントの余白の量を調整する

操作の流れは、実物のマッティング作業に即したもの。写真画像を用いる場合は、

1. 採寸：写真のサイズを測定する
2. データ入力：採寸したサイズの数値を設定欄に入力する
3. 画像の配置：写真をデジカメで撮影し、画像データを「MatArranger」に読み込んで、マット上に配置する
4. 各種設定：数値や設定を変えて、最適なマッティングを決める

マッティング、フレーミングの結果は、独自のファイル形式で保存できるほか、グラフィック（PICT）データとして、クリップボードや他のアプリケーションにコピーすることもできる。

画面は、各設定の結果を確認できる表示ウィンドウのほか、「マット」「フレーム」「多コマ」など、種類別にまとめられた複数の設定ウィンドウから構成される。表示ウィンドウでは、表示倍率（%）を任意に変更できる。また、各部の寸法の非表示や、（フレームやマッティングを立体的に見るための）影の表示/非表示を設定できるほか、マッターロボ（マッティング専用機）を用いる際の、マットおよび抜き寸の設定値（縦/横）も確認できる。

プリント写真は、マッティングをすることで表現の効果をより際立たせることができるほか、表面をガラスでカバーすることにより、ギャラリーや美術館の展示で長時間外気にさらすときにも汚損から守られる。さらに、吸湿性のあるボードで挟むことでプリントの保存性が高まる、といった効果がある。しかし、マッティングの作業には一定の技術が必要で、試行錯誤も難しい。「MatArranger」を使用することにより、実際の写真による作業の前に、画面上で試行錯誤することができる。例えば、マットのサイズや用いるボードの色や厚さなどを、視覚的に検討できる点が大きなメリットだ。

経験のないと雰囲気をつかむのがなかなか難しいが、マッティングをやったことのある人は、少し使えばすぐになじめるだろう。数値を入力すると、その場で結果が反映されるので、シミュレーションを見ているだけでもなかなかおもしろい。

さまざまな設定を一から行うには、それなりの知識と熟練が必要だが、マットサイズとプリントサイズ、ボード/フレームの材質や寸法があらかじめ登録された「定型サイズ」のリストも用意されている。慣れない人は、このリストから選ぶのが無難だろう。もちろん、自分でリストを編集することも可能だ。

最初の目的は比較的すぐに実現できたのですが、いろいろとアイデアが出てきて、それを実装していくうちに3年の月日が経ち、額装のシミュレーションソフトになっていました。

今後は柄物のフレームに対応したいと思っています。また、この「MatArranger」と組み合わせて、展覧会を構成するソフトを作りたいと考えています。