使いやすさやレンダリング品質の高さなどで定評のある3D CGソフト「Shade」シリーズの新バージョン。モデリング機能の操作性が強化されるなど、前バージョン「7.5」に対してさまざまな改善が施された。「Shade 8」シリーズには、実装する機能により3種類のエディションがある。「7.5」同様、
- 入門用で基本的な機能を搭載する「basic」
- 通常使う機能のほとんどを利用できる「standard」
- 全機能を利用できる「professional」
だ。ただし入門用とはいえ、「basic」でもパーソナル用途には十分な機能を装備している。「8」での機能強化は、主に使い勝手の面での改善が多い。ツール関係では、従来キーボードとマウスの併用で操作していたスクロール/ズームなどの機能がツールボックスに搭載され、マウスだけで呼び出せるようになった。また、オブジェクトの選択では、従来の矩形選択に加え、フォトレタッチソフトばりの「投げ縄」ツールやフリーハンドでのトレース選択が行えるようになっている。
さらに、ポリゴンの選択では、頂点・稜線・面という3種類の選択モードが利用できるようになった。従来は頂点を一つひとつ選択する必要があったが、ポリゴンを選択するだけで、稜線や面を一気に選択できるようになった。また、ポリゴンがつながった面をベルト状に一列まるごと選択する「ベルト選択」と呼ばれるモードも追加されている。
レンダリング機能では、残念ながら上位版の「professional」でしか利用できないが、アニメ風の段付き影を表現する「トゥーンレンダリング」に対応。また、ネットワーク上に接続された他のパソコンにレンダリングをさせるグリッドレンダリング機能「Shade Gridサーバー」機能も使える。「basic」の場合、グリッドサーバとして1台のパソコンを利用することが可能だ。
アニメーション機能も改善点が多い。従来、パスに沿って物体を動作させると、ベジェ曲線など、複雑な部分で動きが遅くなって不自然だったが、新たに等速機能を搭載し、複雑なパス上でも自然な等速運動をさせることができるようになった。アニメーションプレビューの際、パソコンの性能に応じてフレームを間引いて再生することで、より完成動画の動きに近づけたフレームスキップ機能も利用できる。
ファイル入出力では、前バージョンで加わったアニメーションのFlash(SWF)形式での出力機能がさらに強化されたほか、新たにGDI+に対応する画像形式(EMF/WMF/ICO)ファイルの読み込みを行えるようになった。また、ILM(Industrial Light & Magic)が提唱する新世代の画像形式「OpenEXR」の入出力にも新たに対応した。「standard」「professional」ではこのほかに、Adobe Illustrator形式への出力にも対応した。
画面は、3Dソフトとしては一般的な三面図+パースビューで、ベジェ曲線をもとにして面を構成する自由曲面定義やメタボール、オーソドックスなポリゴン指定による立体構成など、多彩なモデリングを利用できる。
もちろん、作成したモデルに対しては、複数の光源やカメラ位置を指定して、さまざまなレンダリングが行える。レンダリングアルゴリズムも、スキャンライン法のほか、レイトレーシング、パストレーシング等、目的や計算速度に応じて方式を選択することが可能だ。最大レンダリングサイズは、「basic」でも1,600×1,200ピクセルまでに対応する。