「Eudora Mini」は、“定番”電子メールソフトのひとつ「Eudora」の機能を、初心者・ホームユース向けに絞った国内限定のソフト。「機能を絞った」といっても、メールの振り分けや定型文書、署名の使用、メッセージの検索、マルチユーザ/マルチアカウント対応など、メーラの基本機能はすべて押えられている。さらに、「Eudora Mini」独自の機能も追加され、単なる普及版にとどまらない。

メイン画面は、フォルダツリー/リストビュー/ビューアからなる、メーラとしては一般的な3ペインの構成。ただしMDI形式で、リストビューとビューアはひとつのウィンドウになっている。メッセージ作成ウィンドウやアドレス帳も同様にひとつのウィンドウで、これらを同時に開いた場合は、タブ切り替えで利用する。フォルダツリー部も、定型文書や署名、パーソナリティのリストをタブで切り替えられるようになっている。

ソフトの大きな特徴は、高いセキュリティ性。セキュリティを確保してくれる機能のひとつが、スパムメールを排除する機能。受信メールのスパムスコア（スパムの可能性の度合い）を判定し、一定以上のスコアを持つメールを自動的に「スパム」メールボックスに移動させるというもの。スコアの判定は「Eudora Mini」のスパムデータベースを基準に行われ、結果はリストビューで確認できる。スパムか否かの閾値は、もちろんユーザが設定できる。スパムメール学習機能もある。受信したスパムメールを、ユーザが手動でスパム認定すると、そのメールの作りを「Eudora Mini」が学習し、スパム判定の精度を高められる仕組みだ。

もうひとつがフィッシング詐欺防止機能。メールに記載されたURLが偽装されており、実際には別のアドレスに飛ばされるフィッシング詐欺に対応した機能で、「表示URLが実際のURLと違う」「URLがIPアドレスになっている」「URLにトップレベルドメインが含まれている」ケースでは、ポインタを当てると、チップでその旨を表示してくれる。仮に偽装されたURLをクリックしてしまった場合でも、警告ウィンドウが表示され、キャンセルすることが可能だ。

「Eudora Mini」独自の機能としては、アドレス帳の階層化と「送信相手ウィンドウ」がある。「送信相手ウィンドウ」は、一覧表示された登録メールアドレスから、「To」「CC」「BCC」を指定して、メッセージ作成ウィンドウに簡単に挿入できるもの。アドレスの検索機能もあり、大量の登録アドレスから目的のアドレスを探しやすい。

「Eudora Mini」の最大の特徴といえば、やはりスパムメール判定機能ということになるだろう。毎日毎日スパムメールに悩まされている人にとってはありがたい機能だと思うが、しかし必ずしも万能ではないことも理解しておいた方がよい。閾値をどこに設定するかによって判定は変化するし、スパムが一部残ってしまったり、場合によっては必要なメールがスパム判定されてしまったりする可能性もないわけではない。これはある程度しかたのないことでもある。

また、もともと日本で開発されたものではないことも念頭においた方がよいだろう。例えば、エモティコンにしても日本で一般的に使われている顔文字では置き換えられない。アチラの顔文字用の機能である。

今回、筆者が原稿執筆用に試用したパッケージにはヘルプファイルが含まれていなかった。ライブドアの公式サイトでも、インストールファイルと、ユーザマニュアル/インストールマニュアルは別々に配布されている。また、ソフトのメニューから呼び出せるFAQページもリンク切れで正直往生したのだが、このあたりは早急に対策していただけるとありがたい。

開発中に苦労した点
既存の「Eudora 6.2J」のエンジンに、弊社独自の機能をいかに追加実装するかという点につきます。そのために開発元の米国・Qualcomm社からの協力も得て、日本独自のバージョンとして開発することができました。また、不要な機能の選別も、ユーザの声を聞きながら行いました。その結果、「Eudora 6.2J」に比べると、かなり簡素化された面もありますが、初心者には使いやすいものに仕上がったと自負しています。

ユーザにお勧めする使い方

■ニックネーム挿入が簡単に

新規、返信などのメッセージ作成画面から直接アドレス挿入ウィンドウを表示し、メールアドレスの挿入をわかりやすく行えるようになりました。

■アドレス帳を階層化

アドレス帳を階層化させることで、アドレス帳の中のニックネームの分類が簡単になりました（注：Eudora 6.2Jにはこの機能はありません）。

■独自インタフェースを採用（Mac OS X版のみ）

インタフェースをPantherに合わせて変更。さらに、ツールボタンなどに新デザインを採用しました。

■添付ファイル名のエンコード方式を簡単に切り替え

メール作成ウィンドウから送信時の添付ファイル名のエンコード方式を切り替えることができるようになりました。

■URLチェッカーでフィッシング詐欺を防ぐ

「URLチェッカー」はURLリンクのついているメールのリンク先が、正しいアドレスになっているかどうかを確認します。また、偽装ページにアクセスしそうになった場合には、すぐに警告が出るので安心です。

■エモティコンで楽しくコミュニケーション

電子メールでよく使われるスマイリー（「:-D」など）をわかりやすい画像（エモティコン）に置き換えます。

• フィルタ機能をメールの振り分けに特化しました。
• LDAPなど、一般的にはなかなか使用されないサービスを削除。
• アドレス帳をメールアドレスの管理ツールとして再設計。