「やさしくExcel OCR」は、高い認識精度を持つOCR機能をExcelから利用できるようにしてくれるアドインソフト。インストールすると、Excelのメニューに「やさしくExcel OCR」という項目が追加され、Excelを使用中であればいつでもソフトを呼び出せる。また、メニューバーのほかに、「やさしくExcel OCR」専用のツールバーも組み込まれ、ワンクリックだけで呼び出せる。

Excelからプラグインを呼び出すと、最初に表示されるのが、ランチャに相当する操作パネル。操作パネルでは、OCRの読み取りソースの選択とOCRモードの選択を行えるほか、環境設定などを呼び出せる。読み取りソースは、3種類から選択することが可能。「スキャナからの直接入力」「画像ファイルからの読み取り」「同時に表示されている他の画面からのキャプチャ」だ。スキャナ入力はTWAINに対応。現在使われているほとんどのスキャナを利用できる。

画像ファイルからの読み取りでは、BMP/JPEGなどの画像ファイルのほか、PDFファイルからの入力にも対応。PDFからの入力では、指定ページの表示画像から読み取りを行える。画像として表示されている状態から読み取るため、文字コードを含まない状態でも読み取れる。

表示されている他の画面からのキャプチャでは、まずはじめに読み取りたい画面を最前面に移動し、読み取りを実行するだけで、画面がキャプチャがされる。キャプチャ時には読み取り範囲をマウスで指定することが可能で、ブラウザで表示されている画面の一部をOCRで認識するといったことも可能だ。

読み取り元の指定が終わると、「やさしくExcel OCR」のメイン画面が表示され、読み取りソースの画像が表示される。読み取りレイアウトの指定と実際の読み取りは、手動で別々に行うことも、両者の作業を自動で行うことも可能だ。

OCRエンジンは「e.Typist」シリーズと同等の日本語OCRエンジンを搭載。スキャン時のつぶれやかすれ、フォント切り替えなどがあっても高い精度で認識する。認識結果は表形式となり、元の画像と並べ、「やさしくExcel OCR」のメイン画面上に表示される。文字の誤りなどはメイン画面上で直接編集することが可能だ。

認識結果はExcelシートに直接転送できる。もちろん、元の表形式はできる限り近い形で再現される。連続読み取りは、一度に100ページまでが可能。「同じシート上に読み込み（原稿レイアウトの再現なしの場合）」「表ごとにシート切り替え」「表ごとにブック切り替え」の3種類の読み取りモードから選択選択できる。

そう考えると、直接Excelの表に読み込める「やさしくExcel OCR」の意味もまた大きい。OCRの本分は、いうまでもなく画像から文字（テキスト）を生成することではあるが、しかし昔はともかく、いまのOCRの性能アップを考えると、テキストになるだけでは物足りない。

もちろん、OCRソフトを作る側もそのことは重々承知の上だろう。最近のOCRでは、原稿のレイアウトやイメージを再現できるのはもはや当たり前。だが、同じ「レイアウトを再現」する機能でも、どのソフトでレイアウトを再現できるのか、という点はよく考えた方がいい。読み取られたデータは、単にそのまま保存されるわけではなく、何か別の用途で使われることが前提であるからだ。つまり、より応用の利くソフトのデータが生成された方が便利なのである。

そう考えると「やさしくExcel OCR」が生成するデータは俄然魅力的だ。なにしろ「ビジネスソフトの王様」ともいえるExcelデータを吐き出してくれるのだ。一度、Excelのデータになってしまえば、テキストファイルはもちろん、Wordに貼り付けたり、HTMLに出力したり、PDFにしたりなど、自由自在である。つまりほとんどのビジネスツールで使えるデータが生成できることになるわけで、そのメリットの大きさは計り知れない。

開発中に苦労した点
Ver.4.0では、表原稿の数字データのOCR処理は、問題のないレベルに到達していたため、今回は、

1. 罫線と文字が接触している部分の認識
2. 表原稿の再現性強化

お勧めする使い方
アドインソフトのため、あたかもExcelの標準機能のように、ボタン一つでOCR機能を利用でき、操作も番号順にボタンを押すだけです。これでOCR処理を行えます。

認識エンジンには、「e.Typist」の最新日本語エンジン搭載と、「日本語/英語混在モード機能」を搭載することで、数字以外にも、英語単語が多数含まれる原稿に対応することが可能となりました。

画像形式のPDFファイルへのOCR処理や、原稿のレイアウトに近い状態で出力する再現性も大幅に強化しましたので、データ再利用の幅が広がります。