恋に恋する少女が異世界を救うという、勇者らしくない勇者が主人公のRPG。クセのある個性的な仲間や、敵と繰り広げる軽妙なタッチのストーリーが魅力。「勇者じゃないモン!」の主人公「宋水エミ」は、全寮制のフリースクールに通う女生徒。フリルやかわいいものが大好きで、趣味は料理とお菓子作り、関心事はおしゃれと恋という、少々乙女チックな女の子だ。ある日、エミは気になる男の子の気を惹くためにプレゼントを買うが、なぜかそのプレゼントが不思議な力を発して異世界への道が開いてしまう。意図せずに異世界の国に到着してしまったエミは、自分が「伝説の勇者」であることを王様から聞かされるが、勇者は「か弱い女の子」に似合わないため、憧れの男の子に嫌われることを恐れたエミは元の世界に逃げ戻ってしまう。ところが、魔王は学校にまで刺客を送り込んでくるため、エミは仕方なく一時的に勇者になることを了承するのだった。
ゲームの最大の魅力は、妙にパワフルで個性的なキャラクタたち。仲間になるのは同じ学校に通う顔見知りの3人で、とにかく空手が好きという格闘マニアの「松坂」、日々怪しい研究に明け暮れているマッドサイエンティストの女生徒「呉」、悪魔召喚などの黒魔術を研究しているオカルトマニアの「公道」と、一癖も二癖もある者ばかり。しかも彼らは異世界の平和のためでなく、「暴れたいから」「研究のため」と、自分勝手な理由で無理やり旅に同行し、さまざまな騒動を巻き起こす。とはいえ、松坂はパワー型戦士、呉はサポート能力の高い僧侶タイプ、公道は魔導師と、各人の得意分野を活かし、戦闘などで絶大な力を発揮する。
シンプルでわかりやすいシステムもポイント。王様の住むマスガルド城では攻略に役立つ情報を入手でき、城下町には各種の施設が用意されている。この城と城下町が拠点となるが、中盤からは移動手段として船が用意され、移動できる範囲が広がる。戦闘は標準的だが、登場する敵がかわいらしく、「あた〜っく」「まほー」といったコマンド名称や攻撃時のメッセージなども楽しい。
攻略するダンジョンの多くは迷路状で、特定の仕掛けを解除しなければ先に進めないものや、謎解きが必要なものも存在する。最奥部にはボスキャラが待ち構えるが、ボス戦の前には通常、「泉」が用意され、泉で回復し、心の準備をしてからボス戦に立ち向かうことができる。また、ダンジョンやマップの中には3種類の特殊な「扉」が用意されている。扉は、特定のアイテムを使ったり仕掛けを解除したりすることで開くことができる。扉の奥には、店では買えない最強アイテムなどが安置されていることもあるので、できるだけ調べるようにしたい。