変換精度の高さと豊富な機能で定評のある日本語入力システム「ATOK」の最新バージョン。新たに「連想変換」機能が搭載されたほか、変換効率の向上や中部・北陸方言への対応、校正支援機能の強化が図られている。今回のバージョンアップで追加された「連想変換」は、ユーザが入力した言葉から連想される言葉の候補を表示してくれるというもの。例えば「美しい」と入力して、未確定の状態で【Ctrl】+【Tab】キーを押すと、「可憐」「愛々しい」「愛らしい」など、実に139語もの連想語が候補として表示される。さらに、連想変換には「日本語使いさばき辞典」「挨拶文例集」「日本語表現辞典」の各辞書が用意されており、これらの辞書との連携で、変換候補の言葉の意味や用例などを参照することもできる。これにより、作成中の文章の中で最もふさわしい言葉を簡単に探し出せるようになる。
校正支援機能としては、従来の「慣用句・ことわざの誤り」「二重敬語」「読み・仮名遣いの誤り」「同一助詞の過剰な連続」「わかりにくい否定表現」に加え、新たに「くだけた表現」に対する修正機能が追加された。あらたまった文書にふさわしくない、くだけた表現を指摘してくれるもので、例えば、
- 今日は忙しいんで、明日にしてください。
という文章を入力しようとすると、- 今日は忙しいんで《くだけた表現》、明日にしてください。
と、問題のある部分を指摘してくれる。同時に、正しい表現である、- 今日は忙しいので、明日にしてください。
を候補として表示、【Shift】+【Enter】キーで確定させることができる。表現モードには「話し言葉中部北陸モード」が追加され、「一般」「話し言葉」「話し言葉関西」「話し言葉北海道東北」「話し言葉九州」「文語」と合わせ、計7種類のモードでの変換が可能になった。話し言葉中部北陸モードでは、「ちゃっとケッタで行こまい」などといった中部地方独自の言い回しを一発で変換できる。また、文語モードも強化され、「っ」「ょ」などの小書きの抑制や、ひらがな→カタカナの一括変換が可能になった。
さらに、Microsoft Office製品で作成した文書から、未登録単語をまとめて学習させられる「Office連携ツール」が、従来のWordやExcelに加えてPowerPointにも対応。市町村名や官公庁名が合併・改組で名称変更された場合、新しい名称を表示してくれる「名称変更アシスト」機能も最新データに対応するなど、一層の強化が図られている。