数値演算により、幾何学的な図形・模様や音楽をリアルタイムに自動生成する描画・作曲ソフト。ユーザが直接、描画や作曲を行うのではなく、演算の種類を選び、数値やパラメータを操作することで、間接的に生成結果をコントロールする点が大きな特徴。画面は、図形を表示する「Unity Word」(描画)ウィンドウと、縦長のコントローラウィンドウで構成される。コントローラには、描画のパラメータを操作する「Calc」「Paint」と、作曲パラメータを操作する「Sound」の三つのタブがあり、切り替えて使用する。「Unity Word」は、ユーザが操作するこれらのパラメータにより、自動的に生成される図形・音楽を楽しむ“デジタルインスタレーションソフト”だ。
「Calc」では、描く図形の種類を選び、サイズと複雑さ、演算の方法と、そこに代入する数値などのパラメータを指定し、描画する図形をコントロールする。数値が入力されると、描画ウィンドウで自動的に描画がスタートし、完了するとストップする。図形はいずれも線描で連続的に描かれる幾何学模様。ボックス(箱型)や水玉模様のように「四角」「円」などの単純パターンの繰り返しで描かれるもの、星型のように全体の描画線で一つのパターンが描かれるもの、松葉模様のようなランダムに近いものなどがある。全部で約20種類が用意されている。
利用できる演算は、四則演算(足し/引き/掛け/割り算)のほか、三角関数(sin/cos/tan)、二乗、平方根、対数など。演算の種類やパラメータの数値を変えるたびに再演算を行って描画し直す。また、描画ウィンドウ内のクリックでも、演算の入力数値が変化し、図形が変わる。
「Paint」では、描画線の形状(縦横の幅)や色、背景色など指定する。色は直接、チャートなどから選ぶのではなく、色相/明度/彩度/透明度のパラメータで指定する。描画ウィンドウ内のクリックによる再演算(再描画)の際には、色も自動的に切り替わる。
「Sound」では、音色や音階(長音階や短音階など)、テンポ、アクセント(音の強さ)などを指定して、演奏をコントロールする。音色は、ピアノやギターなど、計128種類の楽器から選択できる。基本的に単音で一定速度の演奏となるが、半音を入れたり、音の強さやフレーズなどに変化をつけたりすることで、曲にバリエーションを与えられる。
演奏される音楽は、描画の場合と同様、パラメータを変えるとリアルタイムで変化してゆく。BGM機能により、楽器や演奏方法、速度をランダムに変えて連続演奏させることも可能だ。さらに、「Unity Word」では図形と音楽に相関関係を持たせているため、描いた図形に対応した音楽を演奏させて、スライドショウのように鑑賞することもできる。
メインの描画ウィンドウとは別に、ユーザが直接、図形を描ける「キャンバス」ウィンドウもある。描画する線の形状や色は、「Paint」で指定したパラメータにしたがい、マウスでフリーハンドの線画を描ける。描画ウィンドウにある図形を「キャンバス」にコピーすることも可能だ。その際、元の図形を拡大・縮小したり、図形同士をミックス(重ね描き)することもできる。