「ATOK16 for Windows」は、高い変換精度を誇る日本語入力システムの新バージョン。この最新版では、変換精度が向上したことはもちろん、北海道・東北・九州の方言を変換できるようになったほか、確定済みの文節を遡って変換し直せる「フィードバック変換」など、多彩な機能拡張が行われている。今回、新たに追加された主な機能は「フィードバック変換」「名称変更アシスト」「話し言葉北海道東北モード」「話し言葉九州モード」「文語モード」「Web辞書変換」。

「フィードバック変換」は、確定後の文節を続きの文節確定内容により、遡って変換してくれる機能。例えば、「正確」のあとに「診断」と入力すると「訂正候補：性格診断」と表示し、【Shift】＋【Enter】キーで確定できる。

「名称変更アシスト」は、市町村名や官庁名、外国都市名といった固有名詞を旧名で入力した場合、現在の名称を表示し、変換してくれる機能。例えば「おおみやし」を変換すると、「大宮市《合併「→さいたま市」》」と注釈が表示される。「フィードバック変換」と同様に【Shift】＋【Enter】キーで確定することが可能だ。

「話し言葉北海道東北モード」「話し言葉九州モード」は、前バージョン「ATOK15」で搭載された「話し言葉関西モード」に続く方言変換の機能拡張。通常の変換では難しい「明日見に来んしゃい」（話し言葉九州）、「雪だべさ」「今朝はしばれるねえ」「雪さひゃっこいな」（話し言葉北海道東北）などの方言を、長文のまま正しく変換できる。そのほか、百人一首や古風な慣用表現などを正しく変換できる「文語モード」も搭載する。

「Web辞書変換（iATOK）」では、Web上の辞書を直接利用するか、ダウンロードして設定できる。標準では、「郵便番号」「カタカナ語英語」「慣用表現」「経済・ビジネス用語」「コンピュータ・インターネット用語」「ATOKチャンネル（Excel関数、ATOK Direct、BizTech ニュース、デイリー国語/英和/和英辞典、映画派＠TSUTAYA、音楽派＠TSUTAYA）」を利用することが可能。ブラウザ画面と連携しており、例えばデイリー英和辞典を使って英単語を入力・確定すると、別画面で入力した単語の意味などを表示してくれる。

一般的に、文を入力する場合には変換精度に心配があるほど、短い文節ごとの変換をしてしまいがちだ。この原稿を例に挙げてみよう。直前の文「一般的に〜しまいがちだ」を、一文まとめて変換を行ったところ、誤変換は見られず1回で正しい日本語に変換された。この「正しい日本語変換」というシンプルであり重要な点は、2、3通のメールを入力するだけでも実感できるはずだ。なお、「ATOK16」は、入力をし直す効率面にも着目されており、使い込むと意外なほど入力の効率が向上する。

「効率よい日本語入力、正しい日本語入力のサポート」──これが「ATOK16」で実現された機能をひと言で表すに適当な言葉ではないだろうか。

また、前バージョンでご好評をいただいた方言対応ですが、今回は関西弁に加えて新たに北海道・東北方言、九州方言に対応しました。メールやチャットなどと日本語入力も多様化するなか、今後とも方言対応を進めていきます。

新しい試みとして、「ATOK16」と連携して英日・日英翻訳が可能な「速攻！翻訳マスター」というオプション製品も用意しました。通常の日本語入力の操作で文章を簡単に英語に変換することが可能です。ビジネスで英文を書くことが多い方にお勧めです。

開発中に苦労した点
苦労した点は書ききれないほどありますが、例えば今回は「表現の多様性」への対応について「ATOK15」の関西弁に続く方言への対応、さらに文語対応とその取り組みを大きく広げました。自分のメッセージを、これまで以上に自由に表現できるようになりましたが、開発としては北海道・東北/九州方言や文語への対応は、ある意味で複数のIMEを同時に作っているようなもので、これまで以上に大変であったことは言うまでもありません。

ユーザにお勧めする使い方
特別な手順が必要なわけではありませんが、特徴である「フィードバック変換」や「名称変更アシスト」は、ついててよかった、と思われるシーンが必ずあるはずです。

また、2月7日にオープンした「ATOK.com」では、専門用語辞書のダウンロード販売をはじめました。これは法律用語や医療用語など、特定分野でしか使用はされませんが、その分野では必須である単語を収録して、追加用辞書としてご提供するもので、ワンクリックでダウンロードから設定まで自動的に実行されます。なお、辞書については幅広い分野をラインアップし、今後も順次追加していく予定です。こちらもぜひ一度ご覧になってください。

今後のバージョンアップの予定など
今後のバージョンアップについては、時期につきましては未定ですが、Windows版に限らず、「ディスプレイがあって日本語入力が必要なところには常にATOKを」という意気込みで、今後も進化させていきたいと考えています。また、例えば人名や流行語など新しい語彙が必要と判断した時点で、追加の辞書ダウンロードサービスの提供など、常にユーザに最新の日本語入力環境をご提供できるようにしていきたいと考えています。