「しげる君」は、25歳の抜け毛に悩む青年・園内茂を主人公にした育毛シミュレーションゲーム。プレイヤーはしげる君のその日の行動を選択し、体調を整えるなどしながら、髪の毛を増やしていく。シーンや気分によって変わるしげる君の豊かな表情と、ほどよく肩の力が抜けたBGMの組み合わせが秀逸。

ゲームの目的は、現在3万本のしげる君の髪の毛を10万本にすること。そのためにプレイヤーができることは、しげる君の今日の行動を決めることと、ボーナスデーで獲得できるアイテムを使うか否かを決めること。今日の行動は3種類のイベントの組み合わせでできている。酒とタバコが大好きで不摂生な生活を送る若者らしく、例えば「タバコ/バイト/よあそび」などとなっている。

今日の行動は3パターンの中から選択することが可能で、選択すると、その日のそれぞれのイベントに対して髪の毛の増減が数値化される。例えば、タバコ＝＋1,000、バイト＝−2,000、よあそび＝−1,500のようになり、この日は2,500本髪の毛が減ってしまう。もちろん、各イベントと髪の毛の増減値はその日ごとに異なる。今日の行動は、「もっと」ボタンで1日に一度だけ別の3パターンに変更することも可能。ただし、変更後の選択肢が気に入らなくても、元に戻すことはできない。この選択をプレイヤーが繰り返して、髪の毛を増やしていくことが基本。10万本になればクリアで、ハゲ（0本）になるとゲームオーバーになる。

5日に一度やってくるボーナスデーでは、ルーレットで育毛関連アイテムをゲットできる。「抜毛予防」「育毛剤」などの5種類からどれかが当たる仕組みで、プレイヤーは獲得したアイテムを使うかどうかを決定できる。各アイテムで成功率が決まっており、成功すると4日間、効能が持続して、髪の毛を大きく増やすことができる。ただし、失敗した場合は、一気に髪の毛が減ってしまう。5種類の中には、何も当たらない「スカ」も含まれる。

そのほか時々、ゲストが登場して、怪しい育毛話をしげる君にもちかけてくる。話に乗るかどうかもプレイヤーが行い、うまくいけば、髪の毛を増やせる。

ゲームとしては至極単純なもので、しげる君の体調や台詞から、その日の行動を決めていけばよいだけだ。ただし、例えば発毛剤をゲットしたときなどのしげる君の表情がなんともよく、こちらまでうれしい気持ちになってしまう。そこにもってきて、ちょっぴり脱力系が入ったBGMである。プレイしていて、なんだかホンワカとした気分にさせられて、しげる君をなんとか10万本の毛髪を持つ男にしてあげたいと思ってくる。

「育毛シミュレーション」というテーマを思いついた時点で、すでに“勝ち”のような気もするが、そこがゲームの魅力の中心でないところが「しげる君」のステキなところだといえる。ところで、ゲーム開始時の3万本というのは、どのくらいの“ハゲ感”があるのだろうか？

開発中に苦労した点
各イベントに対して、どのくらい髪の毛が減るのか実践したことです。

ユーザにお勧めする使い方
しげる君はもう髪がフサフサになることはないんです。だから、ハゲてゲームオーバーになっても、それはそれで仕方がないのです。むしろフサフサになったときのしげる君を見る方が私にはつらいです。各イベントは楽しい方向にすればするほど髪が減る傾向になっていますので、みなさんはしげる君が本来の姿になるまでの過程を愉しんでください。