ひとめ見ただけで、機能も使い方もほとんどわかってしまうシンプルなソフトだ。変換の対象となるテキストはファイルを読み込むほかにカット/コピー&ペーストも可能。ただし、編集エリアではコンテキスト(右クリック)メニューは使えない(右クリックしても何も反応しない)。もちろん編集メニューからは操作できるし、キーボードショートカットも利用可能だが、やはりコンテキストメニューからも操作できた方が便利だろう(なお、筆者の2台のマシンではともに「編集」メニューからは正しく貼り付けられるが、ショートカットを使うと同じデータがふたつ連続して貼り付けられるという症状がみられた)。
また、検索では、【←ここ】マークを消すには「取り消し」を実行すればよいが、検索後に文字列を編集したり変換を行っていたばはそれらも取り消されて、検索を実行する前の状態に戻る。なお、検索後、さらに変換や挿入コマンドを実行した場合は、「取り消し」を行うと変換や挿入の取り消しなり、検索マークは消えずにそのまま残るようだ(取り消しにはbackup.txtという一時保存用ファイルが使われていて、変換や挿入コマンドを実行した時点でこのファイルが書き換えられている)。
「Henkan Man」の持つ変換機能はテキストエディタの得意分野なので、テキストエディタのヘビーユーザで「Henkan Man」のように独立したツールを敢えて欲する人は少ないかもしれない。むしろ、テキストエディタにはあまり縁がなく、それ以外のビジネスアプリケーションを使っている人が、ばらばらに作成されたデータを集めてレポート化しなければならないといった用途でこそ、このソフトの手軽さが活きそうだ。
そのような場面を想定してExcelとの間でデータをやりとりしてみたが、表はタブで区切られた形でペーストされるし、さらにそれをコピーしてExcelへ貼り付ければ元通り各セルに入る(当たり前といえば当たり前だが)。このようにデータ処理の下準備としてテキストの整形を必要とする場面には好適だろう。
欲をいえば、文字列のブロック選択(矩形範囲選択)ができると、表の一列分だけ切り取ってExcelへ書き戻すといった使い方ができ、さらに便利になるのではないかと思った。
(福住 護)