「EOE-D1」は、シンプルな操作性ながら本格的機能を備えたリズムパターン作成ソフト。画面は一見すると、DVD再生ソフトやCDプレイヤー風で、画面下部には16個のボタンが並ぶ。このボタンはそれぞれ、16ビートの各発音パターンに対応している。操作としては、好きな楽器を選択し、16個のボタンの中からその楽器が発音するステップを選ぶだけでよい。音程、ボリューム、左右バランス（パンポット）は、各ステップごとに設定することができる。

楽器の選択もボタンクリックで行う。楽器ボタンも16個が用意されているが、楽器にはそれぞれ数種類の音色が用意されており、豊富な楽器（音色）を利用できる。楽器の発音は、単発音のほか、次の音とスムーズにつながるような効果を出すことも可能で、さまざまな音色を楽しめる。なかには、ため息のような声や拳銃の射撃音のような音など、ユニークな音源の楽器も含まれており、表情に富んだリズムを作成できる。

リズムパターンだけではなく、それらのパターンをつなぎ合わせてひとつの「曲」を作成することも可能。曲（ソング）は最大9曲まで管理できる。1曲の中には99個までのシーケンス（旋律）を定義でき、シーケンスは最大99個のパターンから構成される。

各楽器の音色は、MIDIやソフトウェアMIDIを使わず、ソフトに内蔵された音源パターンを利用できる。そのためソフトウェアを実行する環境に依存せず、常に同一の音色を再生することが可能だ。また、各楽器のWAVEファイルを適宜置き換え・追加することで、自分の好きな音色を楽器として定義することもできるようになっている。

その点、「EOE-D1」の「敷居の低さ」は、なかなかのものだ。何しろユーザインタフェースからして親しみやすい。使い方に慣れるまでは多少の時間が必要であろうが、行った操作がダイレクトに音色に反映されるので、操作は比較的覚えやすい。また、最初にとにかく「音」を出すまでの手順が少ないというのも、敷居を低くしている要因だろう。

もちろん、作曲ソフト──特に本格的な機能を持ったものの操作が難しくなりがちなことについては、それなりの理由があるのだろう。例えば他のソフトの互換性などを考えれば、ファイル形式などの互換性も重要だ。「EOE-D1」で作成したデータは、現在のところ他のソフトで利用できないなど、不満な点もないわけではない。しかし、たまにはこうした気楽に使えて楽しめる、そんな音楽ソフトもあっていいのではないか、と思わせられた。シンプルで楽しいソフトだ。

開発中に苦労した点
Windows＆MFCのことをあまり理解していないまま作っていたので、それが一番大変だったのですが、あまり難しいことをしなければなかなか手軽に作れてよいものだと感心しました。できるだけ本当にハードウェアとして存在しているようなユーザインタフェースにしたかったので、そのための画像を作るのに一番時間をかけたような気がします。

ユーザにお勧めする使い方
あまり考えずに適当に触って、できたものを繰り返し聞くのがよろしいかと……。素材の権利やダウンロード容量などの問題があるので、素材として入っている楽器音は非常に劣化した音ばかりなのですが、本格的に楽しまれるのであれば波形ファイルを用意して登録し直すことでやや立派なシーケンサになると思います（MIDI入力とか対応してませんが……）。

今後のバージョンアップ予定
WAVEファイルへの出力ができると他のツールで波形が利用できて便利だというリクエストがあったので、次バージョンで対応する予定です。ほかの人が作ったソングとかパターンを切り出して合成できるような機能も必要なのかな？　とりあえずオフィシャルページ（http://www.argent.agenda.co.jp/）の掲示板等でリクエストが入れば、それに対応していきます。

その他
ほかにも「こんなソフトがあったらほしい！」というリクエストもお待ちしております。おもしろそうだったら手が空いているときに作ります！