簡単な操作でADSLの高速化を図ることのできるユーティリティ。「驚速ADSL」は、現在利用しているADSLの状態に合わせて、Windowsのインターネット接続に関する設定を最適化し、高速化を図ることのできるユーティリティ。Webサイトへのアクセス時間を短縮するDNSキャッシュ機能も搭載する。(株)ソースネクストの発売する「速」シリーズ(パソコンをチューンアップして、動作速度や使い勝手を向上させるユーティリティ集)のひとつで、フレッツ・ADSL(東日本/西日本)、イー・アクセス、アッカ・ネットワークス等向けの「驚速ADSL」と、Yahoo! BB用に最適な設定がされた「驚速ADSL Yahoo! BB版」がある(以下、二つあわせて「驚速ADSL」とする)。
いくつかの機能があるが、中心となるのは、TCP/IPのパラメータを最適なものにセットして、(ハードウェアを変更せずに)通信速度を改善する機能だ。ADSLの通信速度改善でよく知られる「MTU」と「RWIN」のパラメータを変更するものだが、「驚速ADSL」では、この設定を非常に簡単に行うことができる。
MTU(Maximum Transmission Unit)は、TCP/IPで使われるデータ転送の最小単位(パケット)として許される最大サイズのことで、通信経路によって利用できる値が異なる。例えば、Ethernetの場合は1,500だが、フレッツ・ADSLのPPPoEで通信する場合には1,454となる。RWIN(Recieve WINdow size)とは、受信ウィンドウのサイズを示すもので、転送するデータ量がこの値以下であれば、事前の確認なしに一気にデータを転送できる。
例えばフレッツ・ADSLでは、MTUやRWINの値は、NTTが配布する「フレッツ接続ツール」によって、自動的に最適の値に設定される。問題となるのは、フレッツ接続ツールを使わずにブロードバンドルータでADSLを使う場合だ。この場合、パソコン側では最適な設定値がわからないため、デフォルト設定値が使われる。ところが、この値が最適値から外れていると、本来はもっと少ない数のパケットで送信できるところを、無駄なパケットを使ってしまい、転送速度が低下することになる。
「驚速ADSL」では、ネットワークの速度を自動的に調べて、MTUとRWINの値を適切な値に設定してくれる。ユーザはボタンをクリックするだけでよい。ただし、この設定によって得られる効果は、OSや環境によって異なる。大まかにいえば、Windows 98(SE)/95では効果は大きく、Windows Me/2000ではやや効果あり、Windows XPでは効果は期待できない、と考えればよい。
もうひとつの大きな機能が「DNSキャッシュ」機能だ。インターネット上のドメイン名(例えばwww.vector.co.jpなど)とIPアドレスとの関係をそのつどインターネット経由で調べるのではなく、一度調べたものをパソコン内部に記録(キャッシュ)して、必要に応じてキャッシュから読み出すというもの。ドメイン名−IPアドレスの関係が登録されたDNSサーバへのアクセスを省略することで、Webページへのアクセスの高速化を図る。この機能はOSには左右されず、Windows XP/Me/2000でも効果を発揮する。
そのほか、「スーパーTips集」と呼ばれるドキュメントが付属する。ネットワークアクセスにおいて利用すると便利な機能や設定、速度向上のためのチェックリストなどがまとめられている。これを読むだけでも、インターネットに関する知識をつけることができる。ファイルのダウンロードの高速化を図る分割ダウンロード機能もある。