まずは、このソフトに興味を持っていただいてありがとうございます。ホゲねこという猫(人間というウワサが……?)は、某企業の業務システム開発にどっぷり漬かってしまっている本職までこの分野のエンジニアです。この分野を本職として給料もらっている以上は、作ったものに責任を取らなければなりません。その手段としては、休日や夜遅くまでかけて動きを確認する。自分が見ただけじゃダメで、給料(エサ?)を払ってくださる「ご主人さま」の上のご主人様にまで説明するために、紙で書類をまとめなきゃならんのです。その時間の方が作る時間より多いぐらいです。しまいにゃ、エサの量がたりないとかキツイとか、ご主人さまに捨てられたとかで、ロクに資料を残さないでナワバリを変えてしまう人もいるので、残された人はより地獄を見ます。「こりゃ、なんとかせにゃあかんな……」と思うようになりました。
最初に思いついたのは、かつてWindows 3.1まで標準アクセサリの一つとして付いていた「レコーダー」です。これもマウスとキーボードの動きを残しておくものですが、ウィンドウというものは、重ならないように毎回位置を変えて表示されるものなので再現性が低く、惜しいかな「標準」の座から消えてしまいました。
そんなら、ウィンドウを元の位置に動かしておけばいいじゃないか」──当時、そんなソフトにめぐり合うことがなかったものですから、「思いつきをムダにしたくないし、大変だけど自分で作っちゃおうかな」と考えたのが、事の始まりです。
そして試行錯誤の末に「GhostTracer Ver.0.3」を完成させました。これは、ボタンが「記録」「再生」の2ボタンしかない陳腐なものでしたが、今後の実用化のメドが立ちました。ソフト試験なんかを手伝わせられるように機能拡張していき、現在のフリーウェア「GhostTracer」となったのです。
ある日、友人Aより電話がかかってきました。「ソフトの使い方がわかんないよ〜」。私は「それなら、この前作ってあげたGhostTracerデータ【??ソフトの使い方、(へ)の4番】を見てよ」と答えました。「この前、アイコンを動かしちゃってマウスがクリックを外すんだよ〜」と友人A。「え〜と、どんな操作だっけ、今見てみる」。しかし自分の家のパソコンでは、アプリケーションもアイコンの配置も違うので、よくわからない……。ここで、無力となった操作データ「(へ)の4番」を削除した私は、友人Aにこう言いました。「え〜と、画面を縦横4分割したとしたら、2−4の位置に黒いアイコンがあるでしょ……」。このあと、一見、囲碁か将棋を思わせる会話が続き、地道な操作指導が延々と続いたのは言うまでもありません。
「操作の様子を動画として残せれば……」「一つの操作を残すのに一杯ファイルが作られるのをどうにかできないか」など、「GhostTracer」の「なまはんか」な改造では実現できないことを一気に解決しちゃおうと、部品レベルからすべてを見直すことにしました。その結果、プロトタイプが完成したころには、まったく別モノとなっていました。データ形式が変わってしまったので、混同しないように名称を変えることにしました。それを、後継ソフト「FairyTrace」と呼ぶようにしたのです。
苦労した点といえば、「本当にできるのか?」という不安がついてまわったことです。本職も容赦ない状況なので、このソフトに割ける時間がない。これは、1日1時間の工程に割って帰宅後に進める。設計などの紙とペンでできることは、通勤電車の中でやるなどで切り抜けました。
次に、「他のソフトを動かしながら、動画を取り込めるだけの実用的速度を維持できるのか?」「できた動画ファイルのサイズが大きすぎると管理が大変」「できるなら画像を可逆圧縮(寸分違わず元に戻せること)にして、あとの編集で画像比較に使いたい」──正直、考えたことは無謀なことばっかりでした。調べ抜いた末に結論として出たものは、「TransG32.DLL」の作者である明熊氏と、「UNLHA32.DLL」の作者であるmicco氏に協力を仰ぐ(使用許諾をもらう)ということでした。快諾をいただき、呼び出し方などの工夫と調整を続けた成果が「FairyTrace」には詰まっています(明熊さん、miccoさん、ありがとうございました)。
お勧めする使い方としては、FairyTraceデータは、画面の解像度さえ一致すれば、アプリケーションやハードがインストールされていなくても、フルサイズ画面の動画として操作の様子を再現することができます。CD-ROMや高速回線などを使って、「動く手順書」として記録したり、配信してほしいです。シェアウェアとしての制限は「再現は1分まで」ですが、「ライセンスキーを登録した環境で作ったデータは、どこで再現しても制限を受けない」としたのもこのためです。ライセンスキーのない方でもプレイヤーとして使っていただけます。
今後のバージョンアップですが、FairyTraceデータを作った人が、より初心者に対して説明する場合などを配慮した機能を追加してみたいと思っています。このほかにも、サポートサイトには専用掲示板を用意していますので、新機能のご要望などありましたら、気軽に足跡を残していってください。すべては聞けないかもしれませんが、今後の方針を決める上で、十分参考にさせていただきます。
(ホゲねこ)