一般に初心者向けとされるアーカイバには「デスクトップのアイコンへアーカイブファイルをドラッグ&ドロップするだけで展開できる」というものが多いが、この「2clickGO」は、そのドラッグ操作さえ難しいと感じる人のためのソフトだ。いきなりノートパソコンを買った初心者で、トラックパッドの操作にとまどっている人を見かけることがあるが、マウスでは直感的だったボタンを押しながら動かすという操作が、パッドに置き換えられた時点でやや不自然なものになっているようだ。そういう意味で、ドラッグを排して2回のクリックにしたことはノートパソコンユーザ向きともいえる。
圧縮・展開の作業自体を受け持っているのはおなじみのUNLHA32.DLLだが、これもいっしょにインストールされるので、初心者にとっては最大の難関といえるDLLファイルのセットアップでつまずくことがない。
圧縮・展開先がデスクトップに限られていたり、ファイルやフォルダ名が自動的に付けられるのも特徴だ。筆者の経験からいうと、本当の初心者はファイルの階層管理といったこと以前に「どこかにファイルを保存する」という意識が希薄だ。その点、圧縮や展開したファイルが「とにかくデスクトップに見えている」という状態は一番安心できるだろう。ファイル名の入力も不要だから、タイピングに慣れていない人でも使えるし、命名に悩まずにすむ。
このような仕様を不満に思えるようになったら、もうすでに初心者の域を脱しつつあり、「2clickGO」が狙いとするユーザからは外れていると考えるべきだろう。
あとは左クリックと右クリックの使い分けをどう理解してもらうかという点が残っているが、これにはWindowsの操作体系という前提があるので、改良は難しいかもしれない。
ひとつ欲をいえば、閲覧ウィンドウからファイルを開いて内容を見ることができるとうれしい。現時点では、初心者に最大限配慮したアーカイバといってよいだろう。
なお、LZH以外のアーカイブ形式にも対応し、分割・復元機能、暗号化機能などを備えた「2click+」(シェアウェア)もある。
(福住 護)