コマンド選択型のアドベンチャーゲーム。中学を卒業し、この春から高校へ行く主人公・椎名亜美は、春休みに祖父の京一と温泉宿を訪れる。だが、そこで、亜美を待ち受けていたのは、たった一人の肉親である京一との永遠の別離だった。突然の京一の変死に、犯人探しを買って出た亜美。それをサポートする新米記者の相川さおり。そして、のちに京一と同じ殺害現場で変死を遂げる京一の古い友人である黒宮敏明の孫・黒宮和馬。果たして3人は、犯人を突き止めることはできるのか。場所の移動や会話などの選択肢を選んでいくことで、必要な情報を引き出していく。
丁寧に描き込まれたキャラや、登場人物の多さもさることながら、練り込まれた人物設定と背景ストーリーが秀逸。操作そのものはオーソドックスなコマンド選択型で、誰でもすぐに楽しめる。が、当然、足と頭を使わないと、そう簡単には犯人をつきとめることはできない。事件が起こる前も含めて、とにかく積極的に動いて、人の話を聞くことがポイントだ。プレイヤーの選択によって、それぞれのキャラが持つ人物像と背景が次第に明らかになる。
一度訪れた場所でも、時間の経過によって、2回目には異なる情報が得られることがある。とはいえ、意味のないムダな行動は厳禁だ。時間の経過によって入手可能な情報が変わるということは、逆から見れば、入手できなくなる情報も出てくるということだ。重要な情報を引き出せないまま時間だけが経過した場合は、犯人がわからずじまいで結末を迎えることになる。
ゲーム途中のデータは五つまでセーブ&ロードが可能。文字の表示速度や、一度読んだどころは、ノーウェイト/高速/普通/変えないといった4段階の調節にも対応する。画面は、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示の2パターンから選べる。BGMも心地よい。