平面的な地図の表示に加えて、3D風景のCG作成もできる高機能な地図ソフト/景観シミュレータ。ある地点からどんな山が見えるかといったシミュレート、市販のGPS機器と組み合わせてのナビゲーションなど、豊富な機能を持つ。「カシミール 3D」は、数値地形データをもとにした地図の表示、3D景観のシミュレートを行えるソフト。国土地理院発行の数値地図、アメリカ地質調査所やスイス地理局の地形データ、さらにはユーザが作成したデータなど、さまざまな地図データを扱うことができ、日本はもとより世界中の地図を表示できる。地図の表示も、高度をフルカラーのグラデーションで塗り分けたものから、等高線ごとに塗り分けたもの、レリーフ風に表示したものなど、多彩な表現方法が用意されている。
作成した地図には、地名や登山用ルートなども登録できる。また、画像やホームページへのリンクの作成、任意の地点間の距離や面積の計算なども可能。登山ルートに沿った地形の断面図を表示してルートの険しさをチェックしたり、ある地点から他の場所が目視できるかどうかといったシミュレートも行える。GPS機器との間でデータをやりとりして現在位置の測定や軌跡データの記録が行えるなど、山の愛好家にはうれしい機能を備える。
大きな特徴が、3Dグラフィック機能「カシバード」による3D景観CGの再現。地図上で任意の場所を指定すると、地形データをもとに、その地点から見た風景をCGで再現する。プレビュー上で撮影範囲などを指定して「撮影」を実行すると、より高精度なレンダリングを行い、リアルな風景を描き出すことが可能だ。撮影では、方向や高度の指定以外に、パノラマなどカメラの種類やレンズ(画角)の変更、太陽の位置や空の色、雲や霧などの気象状態まで細かく指定することができる。
「春の野山」「日本アルプスの朝」「単色・スケッチ風」など、気象や地表の表現などのオプションを組み合わせたパターンがあらかじめ用意されており、これらの設定で簡単にレンダリングを楽しめる。作成したCG画像はBMP形式で保存できる上、「カシミール 3D」のアルバム機能に登録しておけば、すぐに呼び出すことが可能だ。
「カシバード」のプレビューでは、キー操作でカメラの上下や視線方向を動かせるが、さらに「カシミール」本体上でカメラの位置を示すアイコンをドラッグすることにより、簡単ながらバーチャルフライト体験も楽しむことができる。さらに、登録したキーフレームから、その間のフレームを自動計算で補完し、連番付きBMP画像に出力する機能があり、ビデオ編集ソフトを使えば、AVIやQuickTimeなどのムービーファイルを作成することもできる。
地図データはプラグインを利用して読み込むようになっており、基本セットには国土地理院の「数値地図25000(地図画像)」と「数値地図200000(地図画像)」を利用するためのプラグインが同梱されている。Ver.7.00からはインターネットを使ったオンライン機能が追加され、本記事執筆時点では、表示したい地図データをその場でダウンロードできる「山旅倶楽部オンライン地図」を利用できる(別途、年間ライセンス料2,800円が必要)。
地図の読み込み以外にも、プラグインによって機能拡張を行うことが可能で、等高線や白地図の表示、地形エディタ、地図の履歴表示などのプラグインが公開されている。