計算機の処理能力の著しい向上により、昔なら不可能と思えたことも可能となっています。レンズ系の光線追跡もまた、いまではパソコン上で実行できます。しかし、いくらパソコンの処理能力が向上したとはいえ、レンズ系を変化させつつ光線追跡をリアルタイムで反復実行する水準に至っているのか? この疑問を解くべく、私は「Reled」(リレッド)を開発しました。軸上マージナル光線が系内をどう上下すると球面収差が減るのか、像面湾曲は軸外主光線をどうコントロールすると減るのか、軸上色収差はアッべ数をどう配分すると減るのか等々、光学に明るい方なら、「Reled」が直感的に示してくれる情報の重要性を理解していただけるのではないでしょうか。ただ、「Reled」は、本格的設計には向きません。画面で確認できる収差があるだけで、それはもう現実には使いものにならないことを意味するからです。しかし、レンズ系の本質を直感的に把握するにはもってこいのソフトだと自負しています。
さて私は、自動設計に興味を持ちはじめています。レンズ系の設計は非線型最適化であり、必ず最適解が得られるとは限りません。それほどの難問を解くためのロバストで、しかもできるだけ多くの候補解を列挙するアルゴリズムはないでしょうか? 私のこの新たな試みを支えてくださる方は、ぜひご連絡を!
(正田 備也)