Session#∀「サムライ・リターンズ」第1話

 静かな夜。
ビバップ号はオートパイロットで火星に向かっている。
消灯された船内でエドが一人、コンピューターに向かってなにかしている。
「にゃ〜♪しょーきんしょーきんどこですかぁー?」
すでに他のクルーは自室で眠りにつき、アインもエドの横で静かに寝息を立てている。
「じ〜んせ〜い〜楽だけな〜らい〜〜な〜〜♪」
某時代劇のテーマ(?)を口ずさみながら、エドは賞金首を探している様だ。
「あや?確かこの人は…」


 朝。いつもの様に最初に起きたジェットは、アインを枕に寝ているエドとそのコンピュータの画面に気付いた。
「ったく、つけっぱなしでねるなって…ん?なんだこれは…」
「ふあぁ〜、な〜にやってんのジェット、朝ゴハンはぁ?」
寝癖だらけのフェイが、だるそうに姿を現わす。
「あ、あぁ。今作るから、待ってろ。」
そう言ってジェットは厨房に入った。
「なにコイツ、ネットしながら寝てるわ…あら?」
ジェットと同様、フェイも何かに気付いた様だ。
「ねぇジェット、あたしこの顔見覚えがあるんだけど…」
「あぁ間違いねぇな。ミイラ取りがミイラになったって訳か。…ヤツには見せない方がいいな。」
「そうね。なに始めるかわかったもんじゃないわ…」

ちょうどその時、ベーコンエッグの匂いにつられてスパイクも起きて来た。
「お…そろそろメシだな。」
「今出来たとこだ。メシにするから早く座れ。」
ジェットがそう言ってる間にスパイクがエドのコンピュータに気付いた。
「アンディ・フォン・デ・オニヤテ…7万7777ウーロン…」
「あ、あぁ、同姓同名同顔って居るもんねぇ〜(^^;」
フェイが慌ててごまかそうとする。
「罪状:器物損壊・公共物破壊。特徴:「ムサシ」と名乗る…明らかにアイツじゃねぇか。」
「…やめとけよ。スパイク。」
今にも飛び出しそうなスパイクに、ジェットが釘をさす。
「なに言ってんだ。このオレがこんなヤツ相手にするわけないだろ。まったく…」
ジェットに釘をさされ、スパイクはソファに座った。
「まぁ、大した金額じゃなし。所詮その程度のヤツだったのさ。」

「くんくんくん。これはごはんのにおい〜♪おいしーおいしーあさごはーん♪」
エドがいつのまにか起きている。アインもエサ皿の前でジェットを待つ。
「今日は特製ベーコンエッグにトーストだ。ちゃんと食べろよ。」
目の前に並んだ朝食を見て、スパイクが手を止める。
「…ジェット。」
「なんだ?」
「…ベーコンのないベーコンエッグは、ただの目玉焼きと言わないか…?」


その日の午後。
クルーはTVを見ていた。番組は「BIG SHOT RETURNS」
「HEY!太陽系30万の賞金稼ぎのみんなァ!のってるかぁ?」
「今日もとっておきの賞金首情報、おっとどけするわよ!」
司会はパンチとジュディではないが、あのノリは健在だ。
時間帯を変え、司会のコスチュームを変更したことにより、視聴率もなんとかなっているようだ。
「今日の最新情報!なんとあのアンディの賞金が上がったぜェ!」
「え?うっそー!前まで7万くらいだったわよね?」
ジュディのあのわざとらしさは新司会のミシェルにも受け継がれている。
「それがなんと!おどろくなよ。7777万7777ウーロンだっ!」
「わぁお!しばらくは遊んで暮らせるわね!」
その時。
「頼もう!頼もうでゴザル!」
アンディが番組に乱入した。
「おい、見てるおかお主。名前は忘れたが…もじゃもじゃ頭の男だ。」
ジェットたち3人がスパイクの方を見る。確かにもじゃもじゃだ。
「明日の宇宙時間朝5時!火星のガンリューシティーで待つ!必ず来るでゴザル!」
なんと偶然。火星はすでに目前である。
「いつかの雪辱!はらすでゴザル!」
「まてぇぇぇい!逮捕だアンディー!」
番組にISSPの警官隊が突入してきた。
「それでは!待っているでござるぞ!」
そう言ってアンディは去った。
「なんだったんだ、アレ。」
「さぁ…って、もう時間みたーい♪ごめんね、今日のBIGSHOTはここまで!」

ブツン!

TVを消した後、しばらくの静寂。
「7千万…カモじゃない♪」
フェイが言う。
「いやしかし…」
ジェットは何かためらっている様だ。
「………絶対ぶっつぶすっ!行くぞ!」
もじゃもじゃは禁句だったようだ(笑)。
「エドもチャンバラー♪ごよーだゴヨーだー♪」

数時間後、ビバップ号は火星へと降りたった。

 To Be Continued


※カウボーイ・ビバップはサンライズの作品です。
※この小説の一部、またはすべてを無断で転載・改変することを一切禁止いたします。

作/翔夢

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