マーメィド・パニック その1

 火星、チャイナタウン。
 穏やかで奇麗な川にビバップ号が停まってある。ビバップ号の所有者であるジェットが火星に滞在する時に、好んで停めてある場所。
 甲板の上で、スパイクは釣りをしている。
 ここ数日、食料はエドとアインがイオで持ってきたシイタケしかなく、同業者に賞金首を横取りされてしまって、冴えない日々を送っている。
 こんな時は釣りが一番だとスパイクはじっと、魚が釣り針にかかってくるのを待っている。
「生まれて始めて外の世界に飛び出した人魚姫は、漂流してきた人間の王子様を助けたんだ」
 同じく甲板の上で、洗濯物を干しながら、ジェットはエドに『人魚姫』を聞かせている。
「しかし、人魚姫には二本の足がなかったんだ。結局、王子様のことは一時諦めて、海に帰ったんだ」
「そんな奇麗な人魚なら、是非拝んでみてえな・・・」
 ジェットの話に反応したスパイクが一人ぼやくと、

 ピクッ!

 釣竿が反応した。スパイクが引き上げようとするが、体が引きずりこまれてなかなか釣り上げられない。
「ジェット!手伝ってくれ!」
 ジェットはすぐさま駆け付けて、スパイクの体を支えていった。
「スパイク、そいつは大物か?」
「多分な」
 やっとの思いで釣り上げると、獲物は二人の頭上を飛び越えて、大胆な水着姿で日光浴をしているフェイのベッドにのしかかってきた。
「ちょっと、ふざけんじゃないわよ!!」
 フェイの強烈パンチではねのけると、今度は、
「何よ、このバケモノは?!」
 と悲鳴を上げた。スパイクとジェットとエドが駆け付けると、思わず、目がテンになっていた。
 スパイクが釣り上げた獲物は、何と頭のない魚だった。

  To Be Continued

作/平安調美人

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