車リプレイス 2003.2.16

年末にオーダーしておいた新しい車を受け取りに行った。新車が手に入る嬉しさは当然あるんだが、入れ替わりに大好きだったモーブのアヴァンシアとはお別れとなる。物に感情移入するのはおかしいと言う向きもあろうが、短い期間しか乗れなかったことが申し訳ないという気持ちが強い。

新しい車は2週間ほど前から納車OKの状態でディーラーの倉庫に放置し続けていた。仕事が詰まり気味だった上に食中毒→インフルエンザ→風邪と連続して体調を崩すというマンガのような状態で車どころではなかったのだ。とは言え狭い倉庫に無理して保管してくれているのを知っているので、2週間も放置しているのはかなり心苦しい。普段は夜に新車を引き渡すことは少ないらしいんだけど、申し訳ない気持ちが先立って夜の納車と相成った。

で、肝心の新しい車の車種だが、実はリプレイスしただけだ。
つまりまたアヴァンシア・ヌーベルバーグを買った(笑)



メーカーオプションも何一つ変わらない。少しくらい変化を持たせたかったので唯一付けていなかった後席テレビシステムを熟慮したが、やはりワタクシには必要ない。後席テレビがあればあったで便利だと思うんだけど、うちの場合は使用頻度と価格のバランスが悪い。後席テレビユニットと交換でアームレストが失われるのも痛すぎる。

けど色だけは変えてブラックマイカにした。モーブはいい色だが、そこまで完全無比に同じ仕様の車を乗り継ぐのはつらい。なんのシガラミもなければミラノレッドが欲しかったんだけど、ワタクシの場合は仕事との絡みがあってそうもいかなかった。できれば有彩色の車に乗りたいがヌーベルバーグはモーブとレッド以外は全部無彩色となるのでやむを得ない。他にもブラックにした理由はあるんだが、まあそれはまた今度。

新しいヌーベルバーグは一切前車と変わりなく、さすが大量(?)生産品! …なんだけど細かいところには意外と差がある。まずATセレクターが「ガチョガチョ」から「ガコココ」って感じになったことに気が付いた。ただ単に組み付けの差だと思うけど。 あとなぜかエンジンが滑らか。アイドリング時の振動からして小さい。思いこみではないはずなんだけど前車は新車の時からもうちょっと振動があった。いわゆる当たりハズレってやつなのかな? さらに窓の開閉がスムーズ。掲示板で窓落ちやレギュレター焼けのトラブルを何件か聞いたので、クレームのフィードバックから組み付けの改善が図られたと思いこみたい。あとはなんだろ… シートの革の張り方が一部ヘンってくらいか。椅子屋さんしっかりしてよ。

走り始めるとATの変速ショックが微妙に小さいのに気が付いた。そういえば前車も新車の時はこうだったような気がする。 それから前車に比較してかなり静かだ。タイヤが新品になったのが効いてるんだと思うが、なんか空気圧も高いような気がする。そのうち点検せねば。

しかし色が違うだけでも結構違和感がある。車に近づくたびに「あれ?」となってしまうのだ。オフで試乗した誰かの車を間違えて乗って帰ってきたような感じ。逆に今オフに行ったらきっと誰かのモーブに乗って帰ってきてしまうと思う。



ちなみに買い替えにあたっては今回はホンダ車のみという条件があったのでアコードワゴンをじっくり見てみた。が、なんかワタクシが求めているモノとは違った… 車自体はとても良い出来だし、装備面もおもしろい。足回りだってヌーベルバーグで実験された方向のもので大変好みなんだけど、どうしてそんなに肩ひじ張ってるの?という素朴な疑問。リアシートはアヴァンシアを見慣れた目には評価外だし、初期型ってのもかなり引っかかる。いやホントにいい車だと思うんだけど、ワタクシにとっては今慌てて買う必要ないというか相性が良くなかったというかホントすみません。

んじゃアヴァンシアのVはどうでしょってことで色々思いめぐらしたんだけど、ヌーベルバーグでも燃費6km/l台なら御の字というワタクシの環境ではV6/3,000ccは勇気がいる。もしVを買うなら手を入れたい場所もいくつかあるので、これをなんとかする費用や時間も考えるとズボラで貧乏な自分には結局ヌーベルバーグが一番合ってるのかも。で、再び同じ車をオーダーしてしまったという次第… なんてこった。

なにしろ今回の車はちゃんと車検を取って長く乗りたい。
月並みな抱負だけど大事にします。


余談 2003.2.16

費用とか時間とか言うなら買い替えないのが一番だろ!ってアナタは鋭い。

実は前車は去年の11月に建築事故の被害にあってしまったのだ。ワタクシが契約している駐車場の門を付け替える作業中のことだった。門の位置はワタクシの車の目の前なんだけど、そこに新しい門のレールを埋めるための溝を掘ったらしい。具体的にはコンクリを削る作業となる。

作業が始まる前に偶然駐車場に行ったワタクシは車が作業の邪魔に思えたので親切心から車の移動を申し出た。が、工務店のオヤジは「車は関係ねえ!」と拒否。丁寧に話しかけてるのになんでそんな態度ですの… これが堅気の職人様ってやつ? まあ関係ないと言うんだから関係ないんだろう。そう信じて不安を感じながらもそのまま帰ったワタクシが悪かった。

あとから大家に聞いた話によると、ビニールシート等の養生もしてもらえなかったワタクシの車はコンクリを削った際に出る粉塵まみれになってしまったらしい。が、工務店のオヤジは職人様である。プロフェッショナルは後かたづけも忘れないってことで、コトもあろうにワタクシのアヴァンシアを雑巾で拭いてくれたらしい。無論、コンクリ粉塵の上から、そのまま、ゴシゴシと、だ。

なんて表現したらいいのかなあ… 要は目の不揃いなペーパーで研いだのと同じことなんで、下地こそ出ていないものの、そりゃもうスゴイことに。わざわざ車に興味のない人複数に見てもらっても「こりゃひどい!」って感想ばかり。ワタクシが神経質なことを言ってる訳ではないのだ。とてもじゃないが納車されて9ヶ月の車とは思えない。どこの営林署の作業車かというほど全身スクラッチ。本当に完璧に全身くまなく傷だらけで「さすがプロフェッショナルだなヲイ!」としか言いようのない状態だった。ルーフもボンネットもドアサッシも、グリルだってライトカバーだって例外なく傷だらけ。

ワタクシは塗装フェチとして納車前の洗車すら断り、有彩色の車が美しい色艶を出すのが楽しくて膨大な時間を洗車につぎ込んできたんだけど、そんなワタクシにこの事態は耐えられない。仕事をさぼってまで洗車場に通ったあの青春の日々を帰してくれ、職人様のオヤジよ!

もちろん現状復帰をオヤジに求めた。大人としてあるべく態度で紳士的に丁寧にわかりやすく説明しながらだ。しかしそれがつけ込みやすいと取られたのか、「どこに傷があるんだ!」に始まり「言い掛かりだ!」、「こんな傷最初からあったに決まってる!」、「俺の作業前に傷がなかった証拠を出せ!」、「直して欲しけりゃそういう態度があるだろ!」とワタクシが悪いと言わんばかりの態度でもうメチャクチャ。あげく「ワックスかけるのに2〜3万円出してもらえませんかと言え!」ときた。恥ずかしくないのかしら?

ちなみに養生してくれなかった理由はビニールシートを忘れてきたからだそうだ(笑) 工事用のブルーシートは持ってきてたんだけど、堅い素材なので車にかけると傷つくから使わなかったんだそうな… いまどきの小学生でももうちょっとマシな言い訳をすると思う。苦笑するしかなかった。

とにかく話し合いによる示談ができそうにないので刑事事件として届け出る方針を伝えた。こうも誤魔化しと言い訳ばかりだと事故ではなくて故意ではないかと疑いたくもなる。事件扱いで相応だ。お約束の如くキレてたけど十分時間を取って親切に説明してあげてるんだから知ったことではない。車は正式な修理見積もりのためにディーラーへ即日入庫。オヤジの態度からすると保険未加入の可能性もあるので大家に工務店の詳細を確認。強制的にでも回収できる見込みがあるなら民事部分は頼りになる弁護士に持ち込むつもりでいた。

しかし車が工場入りして2日後くらいだったか、突然保険代理店から電話があった。なんかオヤジが保険代理店のかたに「偶然」相談したらしい。代理店によると本当に偶然らしい。オヤジはね、保険ってこういう時に使うって知らなかったんだって… 勘弁してよ… とにかく保険に加入していたと分かっただけでもホッとした。

損保会社が介入してくれたおかげでスムーズな流れにはなったが、それはそれでいろいろあった。
代車のストリームは事故車かなんか知らんけど異常に程度が悪くて悲しかったとか… 職人様のオヤジが示談書のハンコ欲しさに棒読みのお詫びを言いに来たりとか… きちんと現状復帰を求めるべく、傷ついた外装品の交換とクリア層の全塗装を要求したらば損保側に詐欺師扱いされたりとか…

交渉中の失礼な言い様は支払い金額を下げるための手段として使っているんだろう。厳しくしたり、優しくしたり、とな。本当に詐欺行為があったと判断されれば問答無用で腹黒くて恐ろしい隠れキャラの如き弁護士が登場してくる。そう分かっていても、言われる方はいたく傷つく。挑発すれば「ブッコロスゾコノヤロー!」とでも言うと思ってるんだろうか? そりゃそうも言ってくれれば録音設備完備の向こうにしてみればつけ込みやすくていいんだろうが。

まあなんちゅうかね、そうね…、ワタクシとしては一切の手落ちがないまま面倒に巻き込まれちゃったんだけど、被害者になってゴメンナサイ、としか言えない。運が悪い人間は他人から蔑まれることも許容せねばならないのだ。なんてこった。

まあワタクシが詐欺師でもなんでも構わないが、仮に外装品を交換してクリアの全塗装をするとしても本当に完璧に元に戻るのかは疑わしい。塗装とはそんな物だと思うし、無闇やたらとウェザーストリップやウインドウを脱着するとロクなことにならない。なんだかんだ言ってメーカー工場の組み立てレベルは非常に高いのだ。ディーラーの工場長もほぼ同意見だったので、示談途中で完全な現状復帰は無理と判断させてもらった。

つまりモーブのアヴァンシアは修理せずに手放すということだ。
損保側にこの方針を打診したところ、買い替えに充当する用途に限るという条件で一定の和解金を出してもらえることになった。とは言っても修理代には満たない金額なので損保側にはおいしい条件だっただろう。さらにここまで数週間分の代車代は全額損保持ち。代車とは言っても1日1万円程度はかかるので合計はバカにならない金額となる。ここはどうあがいても自腹は切れない。

この時点でディーラーには●万円也の見積もり代金を支払ってアヴァンシアを返却してもらった。
あとはこのアヴァンシアの下取り+和解金+自分に用意できる現金の範囲で新しい車をオーダーするだけだ。実にバカバカしい。

これが買い替えの経緯だ。
文章にするとたいしたことでもないが、本当に毎日気が滅入ってどうしようもなかった。仕事にも身が入らなかったし、食事もおいしくなかった。もう少し相手に常識があればここまで滅入ることはなかっただろうに。

車庫証明の印鑑をもらう時に駐車場の大家にも示談内容を報告したが、どうやら神経質なクレームをつけてたっぷり保険金をせしめたと勘違いしているフシがある。ワタクシが斜に構えすぎているだけならいいが、今までは自分の駐車スペースの後ろに置いていた大家の子供用自転車の駐輪位置が変更されていたのも偶然ではないだろう。すでに要注意人物ってことか。これまで大家とは何年もお付き合いしており、そりゃ子供さんの自転車とおぼしき傷が入っていることもあったが、生活の中で間違えてできてしまうような小さな傷に対してクレームを付けたことは一度もないのに。こんなことで信頼関係が崩れてしまうのは悲しいことである。ワタクシの行動はそんなに非常識だったのかと悩む。

いずれにしても今はもう終わった話だ。多少貧乏になったものの、これもまた仕事への糧とするしかないだろう。今回なんか人身ではなかっただけマシってもんだとも思う。事故は気を付けてどうにかなることでもないが、それでも気を付けてと連呼するよりない。皆さんにも自分にも。